日本語DTPを多言語展開するときにぶつかる5つの壁

日本語で仕上げたIllustratorのデータを、「英語版もお願い」「韓国語も」と言われたとき、経験のあるDTPオペレーターなら「またか」と思うはずです。
単純に文字を差し替えるだけじゃないのは分かっている。でも、何度やっても同じところで詰まる。そういう感覚、あると思います。
よくぶつかる5つの問題を整理してみました。
1. 英語にすると文字があふれる
これが一番多いトラブルです。
日本語は情報密度が高い言語で、短い文字数でも意味が伝わります。それを英語に翻訳すると、だいたい1.5倍から2倍の文字数になります。「納期厳守」が “Strict Adherence to Deadlines” になるイメージです。
テキストボックスが固定サイズだと当然あふれます。かといって自動サイズにすると今度はレイアウトが崩れる。結局オペレーターが目で見て調整するしかなくなる。
この問題は翻訳者側も意識してくれていることが多いですが、限界があります。デザインの都合でどうしても長くなるケースは必ず出てきます。
2. フォントが使えない
日本語フォントで英語を組んでいるデータは、そのまま英語版に転用できないことがあります。
游ゴシックやヒラギノで英字を打つと、プロポーショナルの処理が甘くて見た目が悪くなります。特にアウトラインを取る前の段階で他の環境に持っていくと、フォントが置き換わって別物になってしまうことも。
「日本語のデザインはそのままに、英字部分だけフォントを変えたい」となると、手作業でテキストを探して一個ずつ変えることになります。ファイルが多ければ多いほど、これがボディーブローのように効いてくる。
3. 文字スタイルが微妙にずれる
翻訳テキストを流し込んだあと、なんとなく見た目がおかしい、ということがあります。
文字スケールや字間、行間は日本語に合わせて設定されていることが多いので、欧文を流し込むと間延びしたり詰まりすぎたりします。色やストロークは元のままでも、スケールの設定が悪さをしていることもある。
細かい話ですが、こういう微調整が地味に時間を食います。しかも複数ファイルあると同じ調整を繰り返すことになります。
4. 修正のたびに全言語やり直し
日本語の原稿が確定する前に多言語展開を始めると、後で必ず後悔します。
「やっぱりここのコピーを変えたい」となったとき、日本語ファイルだけ直せばいいわけじゃない。英語版、韓国語版、中国語版、それぞれに同じ修正を入れないといけません。
修正箇所が少なければまだいいですが、「全体的にトーンを変えたい」みたいな話になると地獄です。どのファイルにどの修正を入れたか管理するだけで一仕事になります。
5. ファイルが増えて収拾がつかなくなる
気づいたら似たようなファイルが大量にある、という状態になっていませんか。
logo_final_EN_v3_修正2.ai みたいなファイル名を見たことがある人は多いと思います。言語ごとにファイルを分けていると、どれが最新か分からなくなる。日本語版は修正が入っているのに英語版は古いまま、なんてことも起きやすい。
バージョン管理をきちんとやろうとすると、それはそれで手間がかかります。
これらの問題、全部つながっています。
根本は「日本語で作ったデータを、多言語展開のことを考えずに作っている」ことにあります。最初からそれを意識した設計にするか、差し替えの作業を自動化するか、どちらかしかないんですが、現実には前者は難しい。お客さんが「あとで多言語版も」と後出しで言ってくることの方が多いので。
aiRosettaはそこをどうにかしようと作ったツールです。完璧に解決できるわけじゃないですが、少なくとも「毎回同じ作業を手でやる」という部分は減らせます。
具体的な使い方は別の記事で書きますが、まずは「あるあるだな」と思ってもらえたなら幸いです。